代表挨拶

【株式会社ハビリ王子 設立の想い】

私は、重度の脳性麻痺を持つ息子の母親です。
息子は生まれつき、全身に強い緊張がある「痙直型四肢麻痺」と診断され、首がすわらず、自力で座ることもできない状態で育ってきました。

10歳の頃、股関節が脱臼したことをきっかけに、息子と私たち家族の過酷な日々が始まりました。
脱臼により全身の筋緊張が一層強まり、薬も注射も効果がなく、息子は全身を反らせながら唸り声をあげ、苦しみ続けました。
その姿を目の当たりにして、「このままではいけない、何とかしなければ」と強く思いました。

息子は笑顔を失い、夜も眠れなくなりました。私とヘルパーさんとで交代しながら、日夜抱っこを続ける日々が続きました。
車椅子にも乗れず、毛布に包んで数えきれないほどの病院や治療院を訪ね歩きましたが、どこへ行っても改善方法を見つけることはできませんでした。

そんな中、ある一人の先生との出会いが、私たち親子の人生を大きく変えることになります。

その先生はこうおっしゃいました。
「障がいを持った子どもの命を救うことだけでなく、その子の将来を見据えた支援が必要です。たとえ重い障害があったとしても、障害にさらに障害を重ねるようなことは決してあってはならない」と。

この先生から学んだ治療の考え方をもとに、いくつもの手術と段階を経て、息子は少しずつ穏やかな日常を取り戻していきました。

2009年から親達で訓練会を立ち上げてから、多くの子どもたちが大きく機能を伸ばしていく姿を見てきました。

そこで学んだ事は、「できるだけ早い段階で、正しい療育を受けることの大切さ」です。

子ども達はとても分かりやすいです。受けている療育が正しいものであるならば重度の障害があったとしても半年も経てば、何らかしらの大きな変化を見ることが出来ます。

選択する療育によって、子どもの未来が大きく変わっていくと言っても過言ではありません。

こうした経験を経て、私は40代で専門学校に通い、柔道整復師、鍼灸マッサージ師の資格を取得しました。

当時の私は「もう病院に頼るのではなく、自分たちの身体は自分たちで守る」という強い決意を持っていました。

しかし現在、息子は人工呼吸器を装着し、命をつないでいます。
この人工呼吸器装着を行った経緯も、ある医師による並々ならぬ支援があってこその事でした。

振り返れば、今の穏やかな時間は、多くの出会いと、献身的に支えてくださった方々のおかげであると、深く感謝しています。

これまで本当に多くの失敗を経験し、そのたびに悩み、反省しながら歩んできました。

息子を通して、そこで出会った素晴らしい方々との繋がりによって、障がい児者の環境づくりの土台が構築されてきました。

その中で、先ずは子どもたち一人ひとりが持って生まれた力を最大限に引き出し、希望を届けられるような支援の場をつくりたい思っています。

そして、息子が経験してきた二次障害に苦しむことがない未来を目指して。

社名である「株式会社ハビリ王子」には、「ハビリテーションの技術を、世界中に広げていきたい」という想いが込められています。

代表取締役 山田しのぶ